中医学のはなし

中和堂の由来

中和堂の「中和」は、中国の戦国時代に書かれた思想の著書「四書」から由来したものです。その「四書」には『論語』『大学』『中庸』『孟子』の四つから構成され、その中の1つである「中庸」の言葉を引用しました。

喜怒哀楽之未発謂之中,而皆中節謂之和。中也者,天下之大本也;和也者,天下之达道也。致中和、天地位焉、万物育焉

意味は喜・怒・哀・楽の感情が動き出す前の平静な状態を「中」といい、感情が動き出したが、それらがみな然るべき節度にぴたりとかなっている状態を「和」といいます。「中」こそが、世界中の万事万物の根本であり、「和」こそが世界中いつでもどこでも通用する法則です。「中と和とを実行しておしきわめれば、人間世界だけでなく、天地宇宙のあり方も正しい状態に落ち着き、あらゆるものが健全な生長発育をとげることになります。

中庸の考え方では人と人の間の調和関係を重視し、どちらにも片寄らない中ほどであり、過不及のないことは中和であるとされています。人間の身体、社会、国、宇宙ぞれぞれはバラスが重要であると考えられ、そのバランスが崩れると、人間は不調になり、国は混乱に陥り、宇宙は崩壊し、つまり、バランスをとることは何よりも大切であると強調する思想である。

また、中医学には有余者潟之(多すぎるものは排出する)、不足者補之(足りないものは補う)という方法で五臓六腑のバランスを調和する、人間の身体と自然及び宇宙(陰と陽)とのバランスを調和する概念と、三因制宜(さんいんせいぎ)という考えがあります。三因制宜とは「因人(いんじん)」・「因地(いんち)」・「因時(いんじ)」のことを指し、つまり、「個人の性別や年齢、健康状態、生まれ付きの体質、生活習慣、生活環境などによるもの」・「地理条件や風土、気候によるもの」・「季節や時間帯によるもの」の条件を考慮し、症状の形成原因を突き止め、それぞれの状況に応じた適切な手当てを行います。

そのため、中医学の「中医」とは中国の伝統医学を意味すると同時に「中庸」の概念も含まれています。また、中医学と儒教思想の共通の考え方である「中庸」及び「中和」は、われわれ中医学を携わっている者にとっても、とても大切にしている考え方です。

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